血圧の話その3(大動脈解離になったので) 『高血圧の9割は「脚」で下がる!』

『高血圧の9割は「脚」で下がる!』
石原結寶 2016年7月1日 第2刷

石原先生は、人参・りんごジュースで有名な人です。自然治癒力系統の人で、私も昔から好きな先生です。石原先生の断食クリニックは有名で、そのクリニックは、保守の論壇をひっぱっていた上智大学渡部昇一先生もファンでした。

 


この本の石原先生の高血圧についての結論はどうか、

1.高血圧が長く続くと、血管が傷つき、それがもとで重要臓器に障害が生じる恐れがある。
   ↓
2.しかし、すべての高血圧には血圧が高くなっている理由がある。その理由を無視して降圧剤で血圧だけ下げようとすると、かえって体に障害が出ることがある。
    ↓
3.そのため、降圧剤で無理に下げるのではなく、その原因にアプローチできるような対策をとらなければならない。

 

やはり、薬で高血圧を下げることが目的でなく、その奥にある原因こそを問題にすべきというスタンスだと思います。現在の私の考えに強引に寄せた理解かもしれませんが。

 

そして、次にそのためには、どうすべきかと具体的な方法が書いてあります。それは、他の先生と共通する方法もありますが、特徴的なのは本の題名になっているように、脚を鍛えることです。脚ですね。

 


まず、この本の冒頭には(たぶん編集者の戦略だろうが)脚を鍛えて血圧を下げた例が出ています。

・60代国会議員、210/120→140/90 体重9kg減
毎日少しずつ歩き、室内でも「横歩き」と「後ろ歩き」をやった。
   
・50代男性 160/95→130/75 体重6kg減
元々スポーツマン→週2回、2〜3㎞のスロージョキングを再開

・50代女性 160/86→120/70 体重6kg減
週3回スポーツジムで脚の筋力増強をした。毎日10種類の薬をやめることができた。


・70代女性 200/100→140/80
スポーツジムで運動をすると気持ちが良くなり、血圧も下がる。


・70代男性 180/110→130/80 体重5kg減
今まで朝の散歩と徒歩通勤をやめた高血圧になり水もたまった。しかし、毎日1万歩〜1万5000歩を歩くようにした。

 

冒頭に、このような例が出ていて私に希望をもたせます。読者は、これをまず見たいので、たぶん優秀な編集者の構成案だと思います。

 

脚を鍛えるのは、ウォーキングですが、

石原先生は、ウォーキングの効果を次のように言います。

①下半身の筋肉を発達させて、下肢の動脈のバイパスや毛細血管を増やす。

②ふくらはぎの機能を強化して、血管や心臓の働きを助ける。

③プロスタグランジンやタウリン等の降圧物資を増やす。

④血管の内皮細胞からの「NO」(一酸化窒素)など、血管を柔らかくする(動脈硬化を防ぐ)物資の分泌を防ぐ。

⑤腎血流量をよくすることで、腎機能を高めて尿の量を多くして余分な水分や余分な塩分の排出をうながす。

私の場合は、大動脈解離の再発防止のためなので、④が直接にぴったりです。この場合、血圧が下がるのは、むしろ結果で、目的は血管疾患の予防です。その他の場合も血圧は指標であって、健康はその奥の原因が大事ではないか。

 

つまり問題は血圧か、血管か

④に関しても、よく考えると、石原先生は「高血圧学会の140/90以上というの高血圧の人の割合は、30歳以上で、男51.7%、女39.7%であった」「国民の約半分が高血圧であるということになる」という趣旨のことを書いています。

 

人口の半分以上が高血圧なのに、しかも高齢者ならもっと高血圧の割合は高いのに、私のように大動脈解離になる人は少数です。

 

だから、本当の問題は、血圧ではなく、血管ではなかろうか?

それは、議論や陰謀論になるかもしれないので、さておき、この本で血圧を下げる方法は、次のようなものです。

・食べ過ぎないこと(他の先生も言っている)

・減塩よりも半断食が効く(朝食軽視は「血圧を下げる最強の方法」の渡辺先生とは逆。ニンジン・リンゴジュースで有名な石原先生らしいですね)

 

・醤油は動脈硬化を防ぐ(醤油を目の敵にする前記の渡辺先生とは逆。また多くの先生方とは真逆ですね)。

 

その他に、エビ・カニ・タマネギ・魚・納豆・ミカン・ゴマなどが動脈硬化に有効ということです。

自然療法好きの石原先生らしい特徴がありますね。

 

 

それに加え、薬で血圧を下げることの害の例をいくつか述べています。(しかし、急に服薬を止めることはムチャは禁物とも言っています)

例えば
「1980年に実施された厚生省「循環器疾患基礎調査」では、その後14年間追跡調査が行われた。その結果、上が119〜180、下が69〜110のいずれの血圧の人も、降圧剤を飲んでいる人の方が自立度が低かった。また、降圧剤を飲んで、上が119〜180の正常血圧をた保っていた人は、降圧剤を飲まずに160〜179の人たちより、自立度が低かった」

「茨木県の調査でも、160/95以上の高血圧でありながら降圧剤を飲んでいない人は、降圧剤を服用して140/90未満の正常血圧にコントロールしている人より、あらゆる病気で死亡する全死亡率も、ガン死亡率も低かった」

というと、降圧剤の服用を考えさせられますね。

 

しかし、私の場合は、大動脈解離の防止です。
この本の結論は、薬で血圧を下げるより脚を鍛えろ、でした。

次の本を読みたいと思います。